受賞作品アマチュア部門

佳作Diver

作品概要

タイトル Diver
プラットフォーム PC
学校名 日本工学院専門学校
受賞者名 田中組

佳作 選考理由

ゲームは様々な作品にあふれ、年々その数が膨大となっています。

ゲームのプレイ感は実際に触らなければその魅力が分からず、ユーザーに数多ある作品群の中から選んで遊んでもらうコトで、初めてスタートラインに立つことが出来ます。

ですのでゲームの作り手は、「どうやったらユーザーに遊んでもらうことが出来るか?」と言う視点を持ってしてのクリエイティブも必要になってきています。

数多くの作品群の中で、まずプレイヤーに興味を持ってもらう1つの手法として、独自性を持ったビジュアルや世界観が必要で、それを創造する才能はクリエイターにとって重要な資質です。

近年、ハードの表現力が上がる中で、大規模開発による現実と見間違うような写実的な表現や、超アニメ表現などのハイエンドなグラフィックが隆盛を極めるのに対し、グラフィックの情報量をあえて「引き算」し、シンプルにすることによって作品で表現したいテーマを印象的に魅せる作りを行う作品も生み出され、多くの人に受け入れられています。

しかしその「引き算」による表現はテーマに則して魅せどころを取捨選択する必要があり、作り手のセンスが非常に重要となり、ゲーム業界で活躍するプロの中でもこの能力を持ち合わせている人はかなり希少です。

そんな中で本作のグラフィック、UIにおけるトータルディレクションのレベルは高く、ビジュアル面においてプロで通用する作家性を持ったクリエイターの作品であると感じ、将来性を期待し、本作「Diver」を佳作に選ばせていただきました。

また、ゲーム構成において「無くした記録を集める」と言う事をプレイサイクルの軸として、ブロックを積み上げステージをクリアしていくことで、」プレイ報酬としての「メッセージ」を閲覧できる作りは、シンプルな構成が情報を絞ったビジュアルと相まって「世界観を知りたい」と言う欲求を刺激し、継続を促す役割として上手く機能していたと感じます。

ただ、残念な点としてブロックを積み上げステージをクリアしていくという「遊び」の部分において、「思考」や「発見」、「遊び」としての深さはほぼ無く、継続する中で繰り返し作業となり、プレイヤーに「達成感」や「満足感」を与えるところまで詰めることが出来ていません。

また本作のプレイ継続のチベーションとしての「世界観を知りたい」と言う欲求に対し「メッセージ」の内容や、プレイ中の「仕掛け」で世界を「知る」「理解していく」と言う要素がなく、事前情報からユーザーが期待する「欲求」が満たされる作りがされていない点が残念でした。

シンプルなゲーム構成ながら魅力的なビジュアルの世界観は非常にゲームとして入り易く、デザインとマッチしたUIもゲームのプレイを阻害せず、世界観をより魅力的に魅せる機能として役立っていましたので、「遊び」としてのゲーム体験の完成度を上げることが出来ればより良い作品になるかと思います。

今回この作品に関わった方々が、さらなる経験を積みゲーム業界で新しい作品を生み出し活躍いただけることを期待いたします。

バンダイナムコエンターテインメント 羽生 和正

この作品について

テーマの音を「炭酸のシュワシュワ音」と捉えた作品。

炭酸の中が舞台のアクションパズル。

プレイヤーはDiverを操作し、ブロックを落として一定時間泡を発生させ、泡の力で浮上するブロックに乗り、制限時間内に水面を目指すタイムアタックゲーム。

ブロックを上手く重ねると大きな浮力を得て、浮上速度がアップ。

ただし使用できるブロックの数には制限も。

ブロックに押しつぶされないよう、落ちているかけらを集めブロックを再生することもゲーム攻略の重要なポイント。

テーマの音を「炭酸のシュワシュワ音」と捉え、ゲームデザインのみならず、グラフィック、サウンドにもそのイメージを反映。

更には、バーのような背景、ステージ名にもカクテルの名前がついていたりと、ユニークかつクオリティの高い作品です。