タイトル | アマズル |
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プラットフォーム | PC |
学校名 | 東京デザインテクノロジーセンター専門学校 |
受賞者名 | アマズル |
粗の多い作品ではありましたが、アクションパズルゲームとしてプレイヤーが思考するバランスとアクションで解決するバランスが丁度よく、程よく緊張感があり楽しめました。
また、課題のSEも雨音として解釈しゴールに近づくほど轟音になることで、ゴールを目指すプレイヤーの期待感を高めていく演出が気持ちよかったです。
世界観もキャラ設定などは直感的でありチュートリアルなども丁寧に組まれていたのでゲームへのとっつきも良いと感じました。
今回は佳作でしたが、試遊した環境で操作系のUI表示が実際のコマンドと違うことや、クリア後にメニューを選択できないなどのバグによる減点がなければもっと上位を狙えたようにも思うので、将来の期待感も含めて佳作とさせていただきました。
今回の経験を活かしてまた素晴らしいゲームを生み出して欲しいと思います。
以下は私ならばこう作っていたというアドバイスをまとめさせていただきます。
■SEの使い方について
テーマがSEであったためよりゲーム性に活用できると良かったかなと思います。
例えば、鈍獣は足音が聞こえたらそちらに突っ込んでくる性能としておき、
・雨音が強まると(足音が消されるので)感知範囲が狭くなる
・水中だと音が出ないため感知されない
などの遊びにした上で、水中であればBGMの音量を下げエコーを強めるなど水中に居る演出を強化するなどで、音にまつわる遊びを更に昇華できていたと感じます。
また、様々なオブジェクトに当たる雨音なども1つ1つを拘り持って作り込むことでゲームとしての完成度も上げられたと思います。
ゲームはエンターテインメントとしてプレイヤーがインタラクティブに介入できるというのが強みです。
テーマやコンセプトはそれを体験や遊びに昇華できるかが一番重要であり、それが新規性あるアイディアであれば一番望ましいです。
■ゴールの視認性について
世界観として苗木を育てるという設定は良かったのですが、画面右上のアメフラシの表示UIに関しては、アメフラシを起動することが目標となってしまうように見え、その後の苗木にアクセスするというフローが直感的ではありませんでした。
右上のアメフラシ起動数が最大になったときはUIの表示色を黄色く変えるなどすれば、目的が変わったということと達成感を出せたと思います。
また、3D上でもアメフラシ全部起動後は苗木にエフェクトを付けたりしないと、苗木が水中に隠れちゃうステージなどでは視認性が著しく低いのが非常に勿体ないです。
もしくは、苗木が進行度に応じて成長していき、最終的には樹木を登ることでステージクリアなどにして「ジャックと豆の木」のような世界観にするのも手だったかもしれません。
■世界観について
細かく言えば色々問題はあります。「アメフラシって機械なのに水没して大丈夫なの?」「起動後の音符は水中で出ても良いの?」などですかね。
ただ、水位を上げて高い位置を目指していくパズルゲームが根幹なので、その前提を崩さないようにフィクションを追加するのが重要であり、それら1つ1つが組み合わさって世界観になっていくのが重要です。
例えば、アメフラシを起動したら水中であっても気泡に包まれて守られているような表現を加えれば、それにあわせてアメフラシの側は酸素が補給できるとするのは、ゲーム性を崩さずオリジナリティが伸ばせそうな要素になり得たと感じます。
また、せっかく雨を降らせるゲームなので進行度に応じて紫陽花が咲いたり、クリア後は晴れて虹がかったり、雨に連想されるカエルやカタツムリなどのキャラクターを追加するなどでより魅力的な世界観や演出を作れたのではないかと思います。
■継続性について
1ステージ、1ステージは楽しいのですが全体を通じて「ついつい続けちゃう…」という要素が足りていないです。
一番わかり易い導線はストーリーですが、成長要素やギミックのインフレ要素など目新しいものが増やすことで止め時を無くすようなプレイ感が目指せると更に良いと思います。
■細かい表現について
アメフラシの数が「10つ」になっているなど1桁を前提としていたUIだったのに対し、レベルデザインのインフレから整合性が取れていない点などがあります。
細かい話題ではありますがこういう1つ1つの問題を解決するのも作り込みになります。
あとは酸素ゲージも減ってきたときのみキャラクターの近くに表示するほうがよりプレイヤーが意識しやすかった等も感じました。
コーエーテクモゲームス 隈部 宣道
テーマの音を「雨の音」「豪雨の音」捉えた作品。
プレイヤーはキャラクターを操作してステージ内の「アメフラシ」を起動。雨を降らせ、ステージ内の水位を調整してゴールである苗床を目指します。
ステージ内に雨を降らせることで水位を上昇させ、道が途切れてしまった場所に、筏などのギミックを浮かせて渡ります。
ゴールにたどり着くには、全ての「アメフラシ」を起動させることが条件。異なる量の雨を降らせるアメフラシをどの順番で起動し、ステージのどこから水をためるかの選択が攻略のカギに。
その順番を間違えると、キャラクターが水没し、酸素切れでゲームオーバーに。
テーマの音を「雨の音」「豪雨の音」とイメージし、「アメフラシ」の種類により、異なる雨を表現。ゴールに近づくほどより強い雨が降るなどのギミックも。
パズルゲームとしてのアイデアと戦略性に優れた作品です。
今回のテーマである『音を聞いてそこから連想するもの』という過去に例のないテーマで、どの学校の生徒の方たちも苦労を強いられたかと思います。
このゲームでは、音を雨音として取り入れました。
ステージに雨が降り、水が溜まっていくというシンプルなゲームシステムですが、プレイヤーはゴールをするため、自らリスクを冒さなければならないという駆け引きを意識してギミックを考えました。
このご時世、同じ場所に集まって作業をすることができず、終始通話越しでの作業でしたが、メンバーそれぞれが、このゲームを面白くしたい一心に頑張ってきました。