発表授賞式


 
 株式会社エンターブレイン
  代表取締役社長
       浜村 弘一 氏

受賞作を昨日の夜、集計が上がってきた数字を見て、最後どれにするか、すごく喧々諤々の議論があったんですね。上位の何個かのタイトルというのは得票の中で、これはもう選んで然るべきだろうということだったんですけれど、割とその後が団子になってまして、実は今日、選ばれなかった作品の中にも、これは押したいなとか、これはぜひ入れたいというふうな作品がいくつもありまして、それだけ本当に今回のゲームショウは素晴らしい作品が揃っていたんだなというふうに、すごく感じます。

実は今の時期というのはすごくゲームが作りにくいんですよね。それはゲームの世界全体が今、すごく大きく変わろうとしているからなんですね。皆さんもよくご存じだと思いますけれども、例えば、街を歩いていると、ゲームをやっているおじいさんとかおばあさんとか、今までゲームをやらなかった若いOLさんとか、ゲームをやることって増えてますよね。電車とかに乗っていても、ゲームをやってらっしゃる方がいっぱいある風景ってあると思うんですよ。今までゲームをやってこなかった方が、すごくいっぱい増えているんですね。

ちょっと難しい話をすると、市場規模っていうので言うと、2006年、去年というのは、ファミコンが始まって以来、ものすごく大きくなった。ファミコン始まって以来、史上空前の売上高っていうのを出したんですね。2007年、今半分終わってますけれども、その去年を上回る速度で、もっとゲームが大きく売れる状況になっているんですよ。市場規模全体が本当に変わろうとしているんですね。さらに言うと、ゲームの中身自体も変わって来ているような気がするんですよ。ゲームショウの会場を歩いてみて、感じられた方、すごく多いと思うんですけれど、 PS3の作品、360の作品、本当に美しい作品がいっぱい出ていますよね。映画と並べても、全然区別がつかない、本当にきれいな作品がいっぱいあります。また、携帯電話のゲームが、PSPと変わらないぐらいの映像になったりしています。

変わろうとしているのはグラフィックだけじゃなくて、ゲームの本質も、今変わろうとしているような気がします。ゲーム大賞で大賞を取った2作品、「Wiiスポーツ」と「モンスターハンターポータブル2nd」。今までゲーム、売れる、どれが素晴らしいとか言うと、大作のRPGとか技術力バリバリのグラフィックを使ったレースゲームとか、そういうのが選ばれるのが多かったんですけれど、何か「つながる」というキーワードで、今までにないものが評価される時代になってきていると思うんですよ。本当に変化しているゲームの世界なので、今本当に作り手のほうは困ってたりすると思うんですけれども、そんな次世代を担う作品、今回こうやって選ばせていただきましたけれども、結果的に並べてみると、本当に次世代にふさわしい顔が並んだなという感じがします。納得のタイトルが並んでいるのではないでしょうか。

ゲームの世界がすごく変わってきた、変わってきたと今ずっとお話ししましたけれども、変わってないものがひとつあるんですね。それはファンの方の熱気なんです。ゲームショウが始まってから、ずっと僕、ここの会場を見に来てますけれども、2時間待ち、3時間待ちでも平気で一生懸命画面に見入ってくれて、笑顔で一生懸命ゲームを見てくれている方、すごくたくさんいて、ああ、これだけは変わらないんだなというふうに思います。今、変化しているゲームの世界なんですけれども、その次代を作るのはもちろんクリエーターの方なんです。でも、そのクリエーターの方々の気持ちを支えているのは、実はファンの方だと思います。


クリエーターの方々、実はすごく自信満々に見えて、すごくファンの気持ち、何を考えているのかすごく気になさってらっしゃるんですね。彼らが気が弱くなった時に、支えてくれているのはファンの声だと思います。今日、フューチャー賞で選ばれた人たち、この人たちは本当に得票で選ばれているわけで、本当に心強い、心の支えになったのではないかと思います。これからもこういったタイトルを、ぜひファンの方が支えていってくれれば、もっともっとゲームの未来は明るく広がると思います。クリエーターの方々、本当に受賞おめでとうございます。それから、集まってくださった皆さん、本当にありがとうございました。